第1号 輸出茶栽培に使用できる薬剤について

鹿児島県経済連・肥料農薬課

日本再興戦略(平成25年閣議決定)で農林水産物・食品の輸出促進等による需要の拡大を図る政策がすすめられていますが、茶業界および本県でも特に最近の国内におけるリーフ茶消費量の減少などから需要回復を図るために輸出の促進をすすめる振興対策が策定され、輸出用茶の栽培が増加しています。輸出茶を栽培する場合、農薬の残留基準値(MRL)が国によって異なるため輸出相手国の残留農薬基準値に対応した農薬による病害虫防除が必要になります。つまり日本の残留農薬基準値と輸出相手国の残留農薬基準値が同程度の農薬を選択して防除すれば残留基準値オーバーなどの問題を解消できることになります。また、輸出相手国の残留農薬基準値が低い場合でもその数値以下の残留値になるように使用基準に基づき使用すればよいわけです。ここでは輸出相手国別に使用可能な薬剤とそれによる輸出茶栽培用栽培暦事例を紹介します 。

輸出相手国別の使用可能薬剤

1.輸出相手国別の使用可能薬剤

殺菌剤

アミスター20フロアブル インダーフロアブル フリントフロアブル フロンサイドSC・水和剤 スコア顆粒水和剤 カスミンボルドー(カッパーシン)銅剤(ICボルドー Zボルドー クプラビットホルテ クプロシールド コサイド3000  コサイドボルドー サンボルドー ドイツボルドーA  フジドーLフロアブル  ムッシュボルドー クミガードSC)

除草剤

タッチダウンiQ  ラウンドアップ  ラウンドアップマックスロード

2.EU輸出茶栽培に使用できる薬剤

殺菌剤

銅剤(ICボルドー Zボルドー クプラビットホルテ クプロシールド コサイド3000 コサイドボルドー サンボルドー ドイツボルドーA フジドーLフロアブル ムッシュボルドー クミガードSC)但し銅の残留農薬基準値(MRL)は40ppmで通常の使用基準で問題はない。但し低いことが望ましい情報があり、留意する。

殺虫剤

アクタラ顆粒水溶剤 オマイト乳剤 カスケード乳剤 コテツフロアブル ダニゲッターフロアブル バロックフロアブル プルートMC  フェニックスフロアブル  ハマキコンN  ハマキ天敵 BT剤 (エスマルクDF  サブリナフロアブル  ゼンターリ顆粒水和剤  チューリサイド水和剤 チューンアップ顆粒水和剤 デルフィン顆粒水和剤 トアロー水和剤CT バシレックス水和剤)但し生菌剤は不可の情報もあり留意する。マシン油剤 (アタックオイル  スプレーオイル  トモノールS  ハーベストオイル  ラビサンスプレー)

除草剤

タッチダウンiQ  ラウンドアップ  ラウンドアップマックスロード

3.台湾輸出茶栽培に使用できる薬剤

殺菌剤

アミスター20フロアブル(1/2) インダーフロアブル(1/6) フロンサイドSC・水和剤 (5/6)

スコア顆粒水和剤(1/3) ダコニール1000(1/5) ファンタジスタ顆粒水和剤(1/2)

フリントフロアブル(1/5)

銅剤(ICボルドー Zボルドー クプラビットホルテ クプロシールド コサイド3000 コサイドボルドー サンボルドー ドイツボルドーA  フジドーLフロアブル  ムッシュボルドー クミガードSC)

殺虫剤

オマイト乳剤(2/5) カスケード乳剤   ガンバ水和剤(1/4) キラップフロアブル  ウララDF(1/6)

コルト顆粒水和剤(3/4) サンマイトフロアブル(1/2) スタークル(アルバリン)顆粒水溶剤(2/5)

スピノエースフロアブル(1/2) スターマイトフロアブル(1/3) スターマイトプラスフロアブル(1/3)

ダニゲッターフロアブル  テッパン液剤(1/3)  ノーモルト乳剤(1/4) ハチハチ乳剤(1/3)

バロックフロアブル(1/3)  ピラニカEW   ファルコンフロアブル(1/4)コルト顆粒水和剤(3/4)

プルートMC(1/3)  マイトコーネフロアブル  ミルベノック乳剤   ハマキコンN    ハマキ天敵

BT剤(エスマルクDF  サブリナフロアブル  ゼンターリ顆粒水和剤  チューリサイド水和剤 

チューンアップ顆粒水和剤  デルフィン顆粒水和剤  トアロー水和剤CT バシレックス水和剤)

マシン油剤(アタックオイル  スプレーオイル  トモノールS  ハーベストオイル  ラビサンスプレー)

除草剤   なし

備考

1.表記農薬は輸出相手国の残留農薬基準値(MRL)が設定されている農薬で、日本の残留農薬              基準値と同等かそれより高く設定されている農薬と許容値設定除外農薬を基本的に記載している。

2.但し、残留農薬基準値が日本の基準値より低い薬剤でも1/5以内の薬剤は記載し、薬剤名後の(1/N)は輸出相手国の残留農薬基準値が日本の基準値より1/N低いことを表示しているので、基準値を超えないよう留意して使用する必要である。

3.殺菌剤の銅剤(EUを除く)、カスミンボルドーおよび殺虫剤のBT剤、マシン油剤、ハマキコンN ハマキ天敵(EUを除く)は残留基準許容値設定除外剤で使用できる薬剤である。

4.銅剤は残留基準許容値設定除外剤(EUは40ppm設定)であるが相手国業界等で残留値を問題にする情報もあり出きるだけ低い値にするよう配慮する。

5.BT剤はEUでも許容値設定除外剤であるが一部国業界等で生菌剤は許容されない情報もあるので、留意する。

6.殺菌剤ダコニール1000、殺虫剤ミルベノック乳剤は減衰が速く、翌年茶への残留の恐れがないため最終摘採以降から秋整枝までの期間に限り使用できる。 但し当該農薬を使用した秋冬番茶は輸出不可能である。(表示できない。)

7.その他、輸出茶栽培周辺茶園では農薬飛散(ドリフト)がないように留意し、また、コンタミがないように防除機具等は専用機具を使用するか、洗浄を十分に行う必要がある。

8.被覆資材は輸出茶栽培専用資材を備え、摘採、生葉運搬、製造過程でも一般園生葉等の混入がないように留意する。

9.輸出相手国の残留基準値(MRL)の情報は頻繁に更新されることから確認が必要である。(2022年12月現在の残留基準値) (農水省のホームページ参照)