第3号-2 赤焼病の防除対策について

鹿児島県経済連・肥料農薬課

赤焼病発生状況と防除対策・・・初発生確認 やや発生しやすい状況

県病害虫防除所の1月の調査で曽於市末吉町での発生の報がありましたが、他の症状との誤診で、発生はみられませんでした。修正します。しかし、最近南薩地域、志布志市などの極一部茶園で発生がみられ、知覧の旧茶業試験場園の「くりたわせ」など一部園ではかなり激しい発生が確認されるなど状況が変化しています。本病は最近極めて少発生に経過し、病原細菌密度は低いと推察されますが、今冬の発生に関与する気象は、暖冬傾向で、12月下旬、1月下旬に一時寒波もあり、寒暖の変化が大きく、雨天日もやや多い傾向です。このためやや発生しやすい状況になっており、今後3月頃が最も発生しやすいので注意が必要です。例年発生がみられる地域、園では茶園を見回り、初発状況を早期に確認し、早期防除に努めましょう。

赤焼病の発生特徴

① 細菌病であるため発生は突発的で、初発生後の蔓延が激しい。

② 伝染は、主に冬から春先の強い季節風などで起こり、傷口や気孔などから感染すると考えられる。整枝や管理作業などでも伝染拡大する。

③ 耐凍性が低い状態の茶樹が雪害、寒害、凍害、霜害などを受けると感染が助長され、発生が誘発される傾向がある。

④ 品種間の発生差があり、一般に「ゆたかみどり」「かなやみどり」「あさのか」「やぶきた」「あさつゆ」などは弱い傾向にあるが、年によって品種の発生が変わる。

⑤ 園、栽培管理による発生差が大きく、肥培管理や茶樹の生理状態が発生に強く影響するように思われる。このため隣接した園でも発生が大きく異なる。

⑥ 幼木園で発生しやすいが、最近では成木園での発生が多い。

⑦ 秋冬期にチャトゲコナジラミ防除にマシン油剤を散布すると、発生が助長されるので注意する。

⑧ 一番茶摘採残葉では切口などに小病斑を生じるが、二番茶以降の発生はみられない。

⑨ 感染のメカニズムや発生機構は不明な点が多く、発生予測が難しい。

⑩ 的確に防除効果を示す薬剤、防除法はない。

⑪ 本病の症状は、寒焼け、網もち病や褐色円星病被害葉、生理症状などと誤診し易いので留意し、疑わしい症状がみられる場合は下記関係機関に相談する。

灰色かび病の発生状況と防除対策

現在茶園は開花期であるが、今年の花蕾の発生は少ない状況です。灰色かび病菌は開花した花弁に寄生して繁殖し、罹病した花から付近の成葉、茎、芽などに伝染して、枯らします。15℃前後の比較的に低温で、多湿状態で発生しやすく、これから春先に発生します。花・蕾の多い園は注意しましょう。

防除方法

(1)赤焼病

これまで発生がみられた地域では茶園を見回り、また整枝時などに写真のように園相部に黒褐変した部位がないかを観察し、スポット状の初発生を早期に確認する。初発生が認められた茶園は早めの防除を行う。発生の激しい園では3月末頃まで数回の防除を行う。

1)防除時期 2~3月 初発生確認後 強風雨直前・直後 春整枝直後など

2)防除間隔・回数 15~20日間隔 2~3回

3)防除薬剤・使用方法

4) 防除上の注意

・チャトゲコナジラミ防除にマシン油剤を使用する場合はマシン油剤散布の数日前に銅水和剤を散布しておくことが望ましい。

・これまで発生がみられた園の春整枝直後などの予防防除は銅水和剤を散布する。

・初発確認後はまずカスミンボルドー(カッパーシン)を散布し、その後は銅水和剤を散布する。

・葉裏からの感染が多いので葉裏にも良くかかるように400L/10a程度散布する。

・カスミンボルドーに対しては展着剤ニーズなどを加用して散布すると効果が安定し、散布量も200~300L/10aに削減できる。

(2)灰色かび病

1)薬剤防除法

2)防除上の注意・被害は軽いので花蕾が多く、多発、葉枯れ進展の場合には防除する。