第5号 一番茶萌芽期~生育初期の病害虫防除対策

鹿児島県経済連肥料農薬課

鹿児島の今冬(12月~2月)は気象予報どおり一時的には寒波がありましたが、全般に温かい暖冬傾向に推移しました。3月に入っても少し寒暖の変化はあるものの温かい日多くなり、中旬になり、さらに気温が高くなってきました。南薩地域の茶園を巡回しましたら茶の芽の萌芽・生育も始まり、早場産地の早生品種では萌芽期を迎えていました。

期待する一番茶芽の生育は昨年同様早いようで、平年より早い生育状態と思われます。  

茶園の病害虫もカンザワハダニなど害虫の活動が始まる時期になりました。今回は一番茶萌芽前から生育初期の病害虫防除対策についてお知らせします。

一番茶前の防除の考え方

病害虫も活動し始めてきました。これから一番茶にかけては赤焼病、カンザワハダニ、サビダニ類、ツマグロアオカスミカメ、マダラカサハラハムシ、コミカンアブラムシなどが発生します。

 この時期に発生する病害虫被害は、一番茶の収量・品質に直接影響しますが、一番茶摘採を控えていますので消費者に与えるイメージや「クリーンなかごしま茶づくり」などを考慮し、できるだけ薬剤防除は避け、発生・被害のため止むを得ず行う場合は薬剤の使用時期には十分な注意が必要です。特に茶園の見回りを入念に行って病害虫の発生を早めに予察し、防除の要否を適切に判断しましょう。防除しなければならない状態の場合は、萌芽期~1葉期頃までに行い、使用基準の期間を十分確保できる薬剤を選定します。

1.一番茶萌芽〜生育初期の病害虫防除赤焼病

○赤焼病

今年の発生も少なく、南薩地域などの極一部園で、スポット的に発生が確認されている程度です。今後も発生の拡大は少なく、防除の必要性は低いと思われます。

〇 カンザワハダニ  

一番茶期は最も発生しやすい時期で、今頃から発生が多くなります。気温が高くなり、乾燥した天気が続くと多くなります。これからの気温は平年並みかやや高い気象予報ですが、県病害虫防除所の3月の発生予察情報では「並」の予報となっており、また、3月上旬調査では例年に比較し、寄生葉率や越冬密度は平年並みの状況で、産卵・増殖はやや早い傾向でした。これから一番茶芽生育期に気温が高く、晴天が続く場合や、晩霜被害後などは発生が増加することがありますので、注意しましょう。

○サビダニ類 (チャノナガサビダニ チャノサビダニ)

数年前まで発生が多い状況でしたが、最近では少ない傾向です。今年も一部茶園では越冬がみられました。一般に一番茶摘採後頃をピークに増加し、葉の褐変・萎縮・落葉などの被害がありますので、例年発生する園は一番茶生育初期にハダニと同時防除します。

 ツマグロアオカスミカメ

本虫は、秋に茶園周辺雑草の花などに発生した成虫が飛来し、秋整枝後などの枝梢の切口に産卵し、越冬しています。このふ化幼虫・成虫が一・二番茶芽生育期に新芽を加害し、被害を生じます。このため周辺に雑草の多い園や例年発生する園などで局地的に発生する傾向があります。萌芽~1葉期頃に防除します。

○マダラカサハラハムシ

主に秋芽生育期に発生しますが、稀に越冬した成虫により一番茶芽も加害され、被害を生じることがあります。秋に発生の多かった園では、発生に注意します。

〇 コミカンアブラムシ  チャノホソガ

被害は殆どないので、出品茶園などを除き特に防除の必要はないでしょう。

○輪紋葉枯病

降雨が多い条件で、周辺にツバキ科植物がある園では発生に注意しましょう。