第7号 第1世代クワシロカイガラムシの防除対策

鹿児島県経済連・肥料農薬課

一番茶の生産は早場産地で終盤になり、遅場産地で最盛期を迎えました。今年の一番茶もコロナウイルス流行持続や燃料費高騰問題などの影響で、生産者の皆様方は生産にご苦労されたことと思います。 今回は第1世代の主要産地における防除適期を予測しましたのでお知らせします。これまで、産地の産卵・ふ化状況調査を実施し防除適期を予測しましたが、最近発生が少なく、寄生枝の採取調査が困難になりましたので、4月25日調査した南薩・日置の一部調査地の防除適期を基本(旧茶業部園5月10日ふ化最盛期)にし、有効積算温度による防除適期予測値、過去の防除適期データーなどを参考にし、大まかに地域の防除適期を予測しました。今年の発生時期は概ね平年並みになります

クワシロカイガラムシの発生概要—発生量は「並」発生時期は「平年並み」

最近の発生は比較的に少ない状態が続いています。昨年秋の第3世代発生も少ない状況でした。県病害虫防除所の5月の病害虫発生予察情報では発生ほ場率は38%(平年49%),寄生株率18.8 %(平年20.8%)で、発生量「並」、発生時期「平年並み」と予想しています。現在、早場産地はふ化最盛期が近まり、中間、遅場産地では産卵時期になっており、防除適期である第1世代のふ化最盛期は,一部調査園の産卵・ふ化状況調査結果および有効積算温度による予測では、今冬は1-2月の以降の気温がやや低く推移したため、茶芽の生育と同様、昨年より10日程度遅い予測となっています。

基本的な薬剤防除対策

摘採や栽培管理のなかで、発生状況を確認しておきましょう。防除は発生が比較的に揃うこの世代に行うと効果的ですが、防除の必要な園は少ないようです。発生の多い園では是非この時期に防除します。なお、越冬成虫休眠期のプルートMCによる防除を実施した園では防除は不要です。

幼虫ふ化最盛期は昨年より10日程遅く,防除適期は極早場産地では概ね5月1~2半旬、早場産地5月2~3半旬、早場・中間産地が5月2~4半旬、中間産地が5月3~4半旬、中間・遅場産地が5月4~5半旬、遅場産地が5月5~6半旬と予測されます。しかし同じ地域でも茶園により発生が微妙に異なりますので、できれば圃場ごとに産卵・幼虫ふ化状況を調べ,防除を行います。防除適期はふ化最盛期から5日後位までです。また、チャトゲコナジラミの防除適期と概ね同調しますので、両害虫の発生園ではアプロードエースフロアブルによる同時防除が可能です。薬液が枝条によくかかるように成木園では10a当り1000 L、幼木園では600 L程度散布します。多発生園は中切りして防除すると効果的です。発生程度が低い園では、周辺部のみの額縁防除でもよいと思われます。

クワシロカイガラムシ薬剤防除法



  • 耕種的防除法

 畑かん地区での散水防除法は、産卵末期頃から幼虫ふ化定着期まで約2週間、日中のみ間断散水(10分散水、20分無散水)します。

産地別のクワシロカイガラムシ防除適期(ふ化最盛期~5日)の目安

極早場産地 (枕崎市鹿籠 志布志市志布志 志布志市原田 鹿屋市高須・浜田など)

5月1-2半旬

早場産地 (枕崎市中原・茅野 南九州市知覧南部 南九州市頴娃中南部 志布志有明野神 鹿屋市東原 錦江町大根占 南さつま市金峰など) 

5月2-3半旬

早場・中間産地 (南九州市知覧中部 頴娃谷場・瀬谷・北部 南さつま市東山 志布志市有明風八重など)

5月2-4半旬

中間産地  (南九州市知覧中北部 川辺 南さつま市東山 日置市伊集院 東市来 鹿児島市松元 志布志市伊崎田 曽於市大隅・末吉 出水市など)

5月3-4半旬

中間・遅場産地 (薩摩川内市入来・樋脇さつま町 霧島市溝辺 曽於市財部 南九州市知覧後岳 南九州市川辺清水 南さつま市鐵山 など)

5月4-5半旬

遅場産地 (霧島市牧園 湧水町栗野 伊佐など)

5月5-6半旬

☆防除適期は同じ産地でもほ場によって異なることがあります。このためこの情報は大まかな目安  とし,正確な防除適期はJAの茶営農指導員や地域振興局などに調べてもらいましょう。