第27号 予防的殺菌剤と治療的殺菌剤の混用による病害新防除技術

鹿児島経済連・肥料農薬課

県農業開発総合センター茶業部から2019年に普及に移す研究成果(普及情報)として秋芽生育期における炭疽病など病害の予防的殺菌剤と治療的殺菌剤の混用1回散布法による新しい効率的防除法が発表されました。本防除法は降雨が続く、多発生条件下でも安定した防除効果を示し、また、この時期に発生する炭疽病、新梢枯死症、網もち病を効果的に防除でき、慣行の体系防除法(萌芽~1葉期と3~4葉期2回散布)に比較し同等以上の防除効果を上げることが判明していますので、その防除理論、試験データー、留意点などを紹介します。

新防除法の理論概要

秋芽生育期の多雨条件、多発状況における病害新防除法 

ダコニール1000とインダーフロアブル又はオンリーワンフロアブルの混用散布による新防除法

予防効果の残効性が長いダコニール1000(散布後7-10日程度感染を阻止する効果)と治療効果の高いインダーフロアブル、オンリーワンフロアブル(散布12日程度前までの感染の発病阻止効果)を2~4葉期に混用散布する方法により両薬剤の作用特徴を合理的に活用し、1回散布で、感染が起こる秋芽生育期の萌芽~5葉期頃まで概ね20日間程度炭疽病、新梢枯死症、網もち病など病害の感染・発病を阻止できます。また、慣行の2回体系防除法の散布遅れ、残効低下による防除効果低下などの課題をクリアし、防除効果の安定化が図られます。

秋芽生育期の病害新防除法

予防的殺菌剤・治療的殺菌剤の混用散布法の防除法と留意点

①治療剤(DMI剤)の治療効果(12日程度)から判断し、秋芽2-4葉期に散布する。

②降雨による感染を予察し、萌芽後最初の降雨から11-12日後頃迄の散布とする。

③予察技術を活用し、伝染源量、散布前後の降雨状況により薬剤の削減や薬剤散布濃度を高・低濃 度などに設定でき、防除コストの低減が図られる。 

④新梢枯死症防除は早めの2-3葉期散布の効果が高い。

⑤網もち病の感染は生育後半のため多発生園では銅剤を4-6葉期に追加散布する。

⑥害虫防除は慣行どおり実施する。本混用散布法は2回目に同時防除するとよい。⑦殺虫剤との3種混用散布は試験の結果薬害などの問題はみられなかった。

⑦殺虫剤との3種混用散布は試験の結果薬害などの問題はみられなかった

秋芽生育期のダコニール1000+DMI剤混用散布病害防除効果試験結果総括(防除率%)

炭疽病


新梢枯死症

高濃度散布…ダコニール1000 700倍 インダーフロアブル 5000倍 オンリーワンフロアブル 2000倍 

低濃度散布…ダコニール1000 1000倍 インダーフロアブル 8000倍 オンリーワンフロアブル 3000倍 

慣行防除法…萌芽-1葉期ダコニール1000 2-4葉期 インダーフロアブル又はオンリーワンフロアブル散布