鹿児島県経済連・肥料農薬課
今年の梅雨入り発表は平年並みで5月31日にあり、梅雨明け発表も平年並みに間もなくありそうです。梅雨明け後は今年も全国的に記録的猛暑になりそうで、これからは連日厳しい暑さが続きそうです。今年最後の三番茶の摘採は早場産地から進んできました。
これから病害虫の活動は最も盛んな時期になりますので発生状況に注意しましょう。三番茶を摘採した後発生する病害虫には輪斑病・ﾁｬﾉﾐﾄﾞﾘﾋﾒﾖｺﾊﾞｲ・ﾁｬﾉｷｲﾛｱｻﾞﾐｳﾏ・ﾊﾏｷﾑｼ類・ｶﾝｻﾞﾜﾊﾀﾞﾆ・ﾖﾓｷﾞｴﾀﾞｼｬｸなどがあります。この時期の茶園の防除は、来年の一番茶の基になる秋芽の充実や樹勢維持のために大切です。
防除の考え方
「やぶきた」園の輪斑病防除は三番茶の摘採直後、更新園再生芽整枝直後に行います。
ﾁｬﾉﾐﾄﾞﾘﾋﾒﾖｺﾊﾞｲ・ﾁｬﾉｷｲﾛｱｻﾞﾐｳﾏは梅雨明け後増加しますので、発生の多い園は摘採後から秋芽萌芽前までの間に防除し、秋芽に対する発生密度を低下させておきましょう。ﾖﾓｷﾞｴﾀﾞｼｬｸは発生状況を観察し、多い場合は出来るだけ若齢幼虫期に防除します。ﾊﾏｷﾑｼ類はﾊﾏｷ天敵、ﾊﾏｷｺﾝ－Nなどによる防除を実施していない園では発生に注意し、若齢幼虫期に同時防除します。
輪斑病、ﾁｬﾉﾐﾄﾞﾘﾋﾒﾖｺﾊﾞｲ、ﾊﾏｷﾑｼ類などの防除薬剤の一部には耐性菌発生や感受性低下がみられますので薬剤選択にも注意します。なお、薬剤使用回数は三番茶(最終)摘採・整枝でﾘｾｯﾄされ、秋芽生育期～秋整枝までが一収穫期になりますので、薬剤選定に留意します。
輪斑病･･･並
今年の発生は、二番茶摘採後までは並発生の状況でした。梅雨が上がりましたが、気温が高くなり、三番茶摘採時は俄雨なども多くなる恐れがあり、発生しやすくなると思われます。本病は主に高温の雨天時や葉が濡れている状態で摘採や整枝を行うと、その切り口から感染し、発病しますが、降雨がなくても摘採・整枝時の傷の汁液でも感染しますので、伝染源病葉の多い園などは注意が必要です。このため薬剤防除は摘採・整枝後できるだけ早く行うことがﾎﾟｲﾝﾄで、摘採3日後までに散布します。摘採後すぐに防除が出来ない場合が多いので、摘採1週間後頃に 1ｃｍ位整枝して直ちに防除を行う方法も現実的です。この時期に輪斑病をしっかり防除しておくことが、秋芽への新梢枯死症発生を少なくします。
チャノミドリヒメヨコバイ･･･多 チャノキイロアザミウマ･･･やや多
両害虫とも今年は梅雨時期前半の降雨日がやや少なかったため発生はやや多い状態で経過しています。梅雨が明けて、乾燥した天気が続くと発生はさらに多くなります。増殖が早く、秋芽の生育・充実が著しく阻害されます。発生が多い傾向の園では秋芽の萌芽前までに補完防除して密度低下を図ります。深刈り、浅刈りなどの更新園の再生芽は集中的に被害を受け、樹勢回復に著しく影響しますので、特に注意します。
コカクモンハマキ･･やや多 チャハマキ･･やや多 ﾁｬﾉﾎｿｶﾞヨモギエダシャク
最近発生が多くなり、毎年この時期から被害が増加します。この時期の発生はﾀﾞﾗﾀﾞﾗと不揃いになり、いずれも若齢幼虫期、巻葉初期、葉潜卷葉期に防除することがﾎﾟｲﾝﾄです。
カンザワハダニ
最近、この時期あたりから発生増加がみられますので、発生初期に防除します。
●注意事項
①ﾀﾞｺﾆｰﾙ1000は秋芽生育期に使用予定の場合には最終摘採・整枝後の使用は出来ない。
②薬剤選定はこれまでの使用状況、秋芽生育期使用予定や耐性菌、抵抗性問題を考慮して行う。
