第21号 更新茶園の病害虫防除対策

鹿児島県経済連・肥料農薬課

南九州地域も平年並みに梅雨入りとなりました。二番茶芽の生育も早場産地から進んできましたが、最近の厳しい市況などで今年も一番茶後の茶園の更新がやや多くみられます。更新は樹高調整や樹勢回復、来年産茶の品質向上などを目的に実施されますが、更新後の茶園管理は極めて重要で、再生芽の健全な生育と充実を図ることが最も大切です。

更新園は一時的に病害虫の発生源は減少しますが、再生芽生育初期は葉が少ないことや、新芽の生育期間が長く、病害虫の発生しやすい時期のため再生芽にチャノミドリヒメヨコバイ、チャノキイロアザミウマ、チャノホソガ、カンザワハダニ、炭疽病、輪斑病、新梢枯死症などが発生しやすく、再生芽の生育・充実を損なうことになりますので、その防除対策について紹介します。

発生する病害虫と防除対策

更新園は更新の時期、更新の程度(中切り 深・浅刈り)、樹勢、その後の天候などにより再生芽の生育時期や状態が異なりますので、芽の生育状況に対応した防除を行います。また、再生芽を摘採・製茶する予定の場合薬剤の使用時期に十分注意する必要があります。

チャノミドリヒメヨコバイ チャノキイロアザミウマ

更新園で被害影響が最も大きいです。再生芽の萌芽・生育初期に集中加害し、芽の生育、樹勢回復を著しく阻害します。萌芽から生育初期に残効の長い薬剤などで防除します。

チャノホソカ

再生芽の開葉期に産卵、潜葉期幼虫などの状況を確認し、薬剤防除します。

カンザワハダニ

更新園では、この数年秋芽生育期の8月頃に一時的に多発生し、再生芽や秋芽の被害がみられています。更新により一時的な天敵の減少や寄生する葉の減少などが原因のようで、注意が必要です。天敵に影響の少ない、全ステージに効く速効性の薬剤で防除します。

チャトゲコナジラミ

多発生園では、第2世代若齢幼虫発生期(6月下~7月上旬)に防除し、密度低下を図ります。

炭疽病  

更新後裾部などに残った伝染源病葉などから発生が次第に増加していきます。再生芽の生育が丁度梅雨期になりますのでやや遅めの1―3葉期に予防剤などの薬剤で防除します。

輪斑病 新梢枯死症(やぶきた園)

病原菌は枝や枯葉、成葉などにも残っており、輪斑病は再生芽の摘採・整枝時に感染しますので直後に、新梢枯死症は感染がおこる再生芽生育期(2葉期頃)に薬剤防除します。