第20号 二番茶芽生育期の病害虫防除対策

鹿児島県経済連・肥料農薬課

ゴールデンウイークも終わり、花咲き誇り新緑輝く初夏らしい気候になりました。一番茶の生産は遅場産地でも終盤となり、早場産地では二番茶芽の萌芽生育期も近まりました。今回は夏茶の品質や収量に影響する二番茶芽生育期の病害虫防除対策についてお知らせします。

病害虫の発生概要

◎ 炭疽病・・・「並」  黒葉腐病・・・「注意」

昨年秋芽生育期発病の越冬病葉はやや少ないでしたが、一番茶芽生育期は比較的に、降雨日が多かったため伝染源として活力の高い一番茶摘採残葉の新発病葉数はやや多い状態になってきています。また二番茶芽の生育期は梅雨入りも予想されますので、感染の機会が多くなり、一般に発生は多くなります。黒葉腐病も降雨が続くと、発生の恐れがあり、注意が必要です。

 チャノミドリヒメヨコバイ・・・「やや多」 チャノキイロアザミウマ・・・「並」

これから発生が多くなる時期になります。一番茶期までの発生は並発生でしたが、その後気温が上り、晴天気象のため両害虫ともやや増加しています。梅雨入りが遅れ、晴天傾向の天気が続と多発生し、二番茶芽に被害が出る恐れもあります。

 チャノホソガ ・・・「発生時期 並」 「発生量 並」 

二番茶以降に発生が多くなり、この数年南薩地域の早場産地で水赤を生じる被害がでました。一番茶残葉の三角巻葉は平年並みの状況です。二番茶萌芽~1葉期頃に産卵、葉潜り状況を観察し防除要否を判断します。発生時期と新芽生育期が合う早生品種園で発生が多くなりそうです。

基本的防除対策

この時期は品種、芽の生育状態、病害虫の発生状況に対応し、基幹防除になります。いずれの病害虫も萌芽~1葉期頃が散布適期です。「やぶきた」園などは混用散布により病害も同時防除します。また、この時期は萌芽から摘採までの期間が短く、気温の上昇で芽の生育が早まることがあるので使用基準の摘採7-10日前に使用できる薬剤を選択し、適期散布します。

また、最近、一部薬剤では薬剤耐性菌や害虫の感受性低下が地域によって生じていますので、地区の栽培暦に採用されている薬剤で防除します。

◎ 炭疽病 黒葉腐病・・・・・降雨が多いときは注意  降雨前の予防防除が基本

炭疽病は特に「やぶきた」園などは梅雨入りで発生が多くなりますので防除が必要です。摘採葉への発病葉混入を防ぎ、摘採残葉として残る下位1-2葉を守るよう萌芽~1葉期の降雨前にダコニール1000での予防防除が基本です。特に伝染源病葉が多く、雨天後散布になるような場合や摘採を遅らせるドリンク茶栽培園ではダコニール1000とインダーフロアブルを低濃度で混用散布すると効果的に防除できます。黒葉腐病は樹勢が良く、芽の詰った園や「ゆたかみどり」などの品種で、特に被覆園に発生しやすいので、萌芽期~1葉期頃にダコニール1000を予防散布しておきます。

◎ チャノミドリヒメヨコバイ チャノキイロアザミウマ・・・・・雨が少ないと多くなる

梅雨入りが遅れ、晴天が続くと多くなります。芽の生育初期に加害を受けると被害が大きくなるので萌芽期頃の防除が最適です。チャノホソガ、炭疽病などと同時防除する場合は萌芽~1葉期に防除するとよいでしょう。ネオニコチノイド系薬剤など一部薬剤で感受性が低下していますのでウララDF、エクシレルSEなど地区栽培暦採用薬剤で防除します。

◎ チャノホソガ・・・・・品質への影響大  

1葉期頃に産卵・幼虫の葉潜り状況をみて防除を判断します。多くみられる園では1葉期頃に防除します。2-3葉期以降に産卵がみられ、10日以内に摘採予定の園では被害は回避できますので防除の必要はありません。これまで使用されてきたIGR系剤の脱皮阻害剤、(ノーモルト、カスケード)、脱皮促進剤(ファルコン)およびジアミド系剤(サムコル、エクシレル、テッパン)で感受性が低下している地域ではディアナSCなど地区の栽培暦採用薬剤で防除します。