鹿児島県経済連・肥料農薬課
発生と防除のポイント
普遍的にみられる病害であるが、本県では発生・被害は少ない。静岡県では発生が増加傾向にあり、被害も問題にされている。緑斑症状と褐色円星症状の病徴がある。一~三番茶摘採残葉、秋芽葉に緑斑症状を発生し、病葉は秋~春期にかけ徐々に落葉するため被害は慢性的な樹勢低下をもたらす。新葉から硬化した成葉にも感染し、一番茶期から秋芽生育期まで、連続して発生する。このため炭疽病などの薬剤防除で同時防除されており、特に本病対象の防除は実施されない。樹勢の低下した園で発生しやすいため更新などで樹勢回復を図ることが大切である。
発生生態
● 病原菌の種類
糸状菌・不完全菌類 (サーコスポラ チャアエ)
●発生の状況
普遍的に発生 被害小
●病徴と診断
成葉にほぼ円形の赤褐色小型病斑を生じる褐色円星症状と、葉裏に濃緑の隆起した小さなあざ状病斑を生じる緑斑症状の2症状がある。主に、緑斑症状は春~秋にかけて発生し、それが進展し、褐色円星症状は秋~春にかけて発生する。緑斑症状病斑は拡大・融合し、大きくなる。
緑斑症状の一部は褐色円星症状へ進行する。
病葉はいずれもきわめて落葉しやすい。
●被害の様子
一見目立たない病害であるが、病葉の激しい落葉のため葉相がうすくなり、樹勢が徐々に低下し、減収・品質低下をもたらす。乗用型摘採機での摘採では、落葉した病葉が混入して収葉され、外観品質が低下する。
●病原菌の性質
発育適温:23~28℃ その他の条件:多雨・多湿を好む
●伝染・感染方法
越冬:病斑内や葉層内枯葉病斑で菌糸の状態で越冬
伝染:褐色円星症状病斑上に形成された分生子が降雨で飛散・伝搬
感染:主に新葉(裏側)に感染するが、硬化した成葉でも感染する
●潜伏期間
20~30日で緑斑症状が発生
●発生消長
新芽生育が続く一番茶期~秋期まで発生し続け、主に、二~三番茶芽、秋芽への感染が多い。
●発病条件
樹勢の悪い園、更新を要する園で発生しやすい。
多雨・多湿条件で発生が助長される。
陽があたりにくく、湿度が高い裾部茶葉に発生しやすい。
防除方法
●防除のポイント
① 二・三番茶期、秋芽生育期に薬剤防除する。(他の病害と同時防除)
② 樹勢の維持を図る肥培管理を行う。
③ 樹勢不良園で、発生の多い園は、中切り、深刈りなどの更新を行い、樹勢回復と伝染源の一掃を図る。
④ 裾葉に発生が多いので、充分薬剤がかかるように散布する。
●具体的防除方法
耕種的防除法
多発生園では、深刈り、中切り等更新により伝染源の除去と樹勢の回復を図る。