第22号 二番茶後~三番茶芽生育期の病害虫防除対策

鹿児島県経済連・肥料農薬課

九州南部の梅雨入りが5月30日発表されました。平年並みのようです。愈々雨の季節になりますが、今年はこれからどのような梅雨気象になるか気掛かりです。

二番茶の収穫は、各産地とも最盛期になってきました。二番茶後から三番茶芽生育期は高温・多雨・多湿の気象条件となり、病害虫の発生が最も多くなる時期です。今回は、二番茶摘採後から三番茶芽生育初期の病害虫防除対策についてお知らせします。   

★ 病害虫の発生概要

二番茶は、降雨の中での摘採・整枝となる場合が多く、「やぶきた」園では、輪斑病発生の恐れがあります。6月の発生予察情報は伝染源病葉は並で「並」の予報です。チャノコカクモンハマキ、チャハマキは「やや多」の予報で、二番茶後頃が若齢幼虫期で防除適期になります。次に、三番茶芽生育期は梅雨最盛期になると思われます。このため「やぶきた」園などでは炭疽病の発生が多くなります。伝染源となる摘採残病葉は今後やや多くなると推察され、これからの降雨量は平年並みの予想などから発生は「並」の予報となっています。また、黒葉腐病も高温・多雨・多湿条件が続くこの時期に最も発生します。本病は「やぶきた」以外の品種でも発生するので注意します。また、害虫も多くなります。発生予察情報ではチャノミドリヒメヨコバイ「多」、チャノキイロアザミウマ「並」、チャノホソガ「並」の予報ですが、特に梅雨明けが早いと三番茶芽生育後半は晴天になると思われますのでチャノミドリヒメヨコバイ、チャノキイロアザミウマの発生には注意が必要です。

★ 基本的対策 ・・・降雨による散布遅れにならないよう早めの予防散布

二番茶摘採後は、輪斑病は伝染源病葉の多い「やぶきた」園では防除が必要です。摘採・整枝直後に防除しますが、ストロビルリン系薬剤の耐性菌が発生している地域では他系統の薬剤に替え、未発生地域でも使用回数は年1回に抑制します。ハマキムシ類の防除を第2世代に薬剤やハマキ天敵で行う場合は発蛾最盛日(フェロモントラップ)の9-15日後の若齢幼虫期に散布します。三番茶芽生育初期の炭疽病・チャノミドリヒメヨコバイ・チャノキイロアザミウマ・チャノホソガなどの防除は同時防除が効率的で、萌芽~1葉期頃に摘採7-10日前に使用できる薬剤で防除します。

★ 輪斑病・・・「並」

摘採・整枝作業で感染するので刈番茶摘採や整枝後出来るだけ早く薬剤散布して、防除します。直後散布で有効な薬剤と3日後までの散布で有効な薬剤があるので注意します。

チャノコカクモンハマキ チャハマキ・・・「やや多」 

二番茶摘採・整枝後、若齢幼虫期に防除します。

★ 炭疽病・・・「並」  黒葉腐病・・・「注意」

「やぶきた」園は防除が必要です。今後の樹勢に影響する摘採残葉を健全に守るための防除で、萌芽~1葉期が適期で、ダコニール1000などで防除します。黒葉腐病も同時防除できます。

★ チャノミドリヒメヨコバイ・・・「多」チャノキイロアザミウマ・・・「並」

茶芽生育初期に加害をうけると被害が大きくなるので三・四番茶萌芽期頃に防除します。感受性が低下している薬剤があるので選択に注意し、地区の栽培暦採用薬剤で防除します。

★ チャノホソガ・・・「並」

1葉期頃に新葉の葉裏に産卵や葉潜り幼虫が多く認められる場合は直ちに防除します。発生時期が遅れ、2~3葉期以降の産卵では被害は回避されますので防除の必要はありません。

隣接作物や摘採の終っていない茶園への薬剤飛散がないように留意する。
  • 隣接作物や摘採の終っていない茶園への薬剤飛散がないように留意する。