第12号 主要病害虫の生態と防除シリーズ もち病

鹿児島県経済連・肥料農薬課

発生と防除のポイント
本県では発生は少ないが、最近梅雨期の二番茶期に発生がみられることがある。二番茶芽生育期と秋芽生育期に雨天が続き、多湿条件の時に発生する。生育中の柔らかい新葉にのみ感染し、10~14日で典型的なもち状病斑を形成するため摘採葉に病葉が混入し、製茶品質へ影響する。病原菌担胞子は高湿度条件で形成され、飛散し、感染する。  薬剤防除は新芽萌芽~生育初期に行うが、炭疽病などと同時防除がすすめられている。

発生生態

●病原菌の種類

糸状菌・担子菌類 (エクソバシディウム ベクサンス)

●発生の状況

山間地・河川流域など局地的発生  被害中

●病徴と診断

新葉裏面に餅状に膨らんだ円形の白色病斑を生じる。病斑の表面は光沢のある淡黄色病斑である。 
古くなった病斑は黒変壊死する。

●被害の様子

摘採葉に被害葉が混入すると品質に影響し、多発した病葉混入で商品価値が低下する。秋芽への多発では、樹勢に影響し、一番茶の収量が低下する。

●病原菌の性質

発育適温:16~20℃  全寄生菌
発育湿度:多湿条件を好み、担胞子形成・飛散・発芽に99%以上の高湿度条件が必要
菌の性質:全寄生菌(生きた作物内でのみ生息) 
     古くなり黒変壊死した病斑には担胞子は形成されない

●伝染方法

越冬:秋期に担胞子が越冬芽に潜入・付着した状態で
発生様式:越冬芽に付着した越冬担胞子→翌春、新芽生育に伴い感染発病
     この一番茶病斑から高湿度条件で担胞子が飛散し
     → 二番茶新芽へ伝染(茶芽潜入)発病 → 秋まで伝染・発病を繰返す
伝染:高湿度条件で担胞子が空気中を飛散・伝搬
感染:高湿度条件で担胞子が発芽し、新芽・新葉に侵入・感染

●潜伏期間

約10日で初期病斑を生ず

●発生消長

主に、二番茶期、秋芽生育期に発生し、冷夏の年は三番茶期にも発生する。

●発病条件

新芽生育期に降雨が多く、湿潤な日が続くと多発生する。
山間地、河川流域、山陰の陰湿な場所の茶園で常発するところがある。窒素質肥料過用など樹勢旺盛園で発生しやすい。
品種と発生:「くらさわ」「するがわせ」「やぶきた」は発生しやすい。

防除方法

●防除のポイント

① 常発園は、二番茶萌芽~1葉期と秋芽の萌芽~3葉期に薬剤防除する。
② 常発園や前年秋多発園では一番茶萌芽前に銅剤を散布し、越冬芽に
付着している菌を殺し、防除する。 
③ 窒素肥料の加用を避け、日当たり、通風を良くする。
④ 本病に対してはDMI剤、銅水和剤の効果が高いので効果的に使用する。