第23号 茶園に使用する農薬の系統・特性と効果・使用法について

鹿児島県経済連・肥料農薬課

茶園の管理作業などはほぼ終わり、今年も残り少なくなりました。今回も引き続き茶園に使用する農薬殺ダニ剤を系統別に作用や特性、効果について紹介します。薬剤は系統別に整理し、理解してください。この時期に少し勉強し、防除技術や効果的な農薬の使用法などの知識を習得してください。殺ダニ剤の登録・変更では、ダニオーテフロアブルが新規登録になりました。

1.殺ダニ剤の作用特徴と使用法

殺ダニ剤は主にダニ類に殺虫効果を示す薬剤ですが、ハダニに有効な剤とサビダニ類、ホコリダニなどダニ類全般に広く有効な剤があります。また、一部昆虫害虫にも殺虫効果を示すものがあり、ダニゲッター(チャトゲコナジラミ)ミルベノック(ホソガ、チャトゲコナジラミ、アブラムシ)、アグリメック(スリップス、コカクモンハマキ、ホソガ、チャトゲコナジラミ、ウンカ)サンマイト(ウンカ、スリップス)などがあります。

殺ダニ作用は電子伝達系呼吸阻害(ダニサラバ、スターマイト、ダニコング、カネマイト、ピラニカ)神経伝達系阻害(マイトコーネ、ミルベノック、アグリメック)脂質生合成阻害(ダニゲッター)、ふ化・脱皮阻害(バロック)などがあります。マシン油剤や脂肪酸グリセリド剤は油膜でダニの皮膚・気門の封鎖で致死させる剤です。

殺ダニ剤には殺成虫効果はなく、殺卵、殺幼若虫を主作用とする剤(バロック、ダニゲッター)と卵から成虫まで全ステージに効果がある剤(ダニサラバ、マイトコーネ、スターマイト、ダニコング、ダニオーテ)さらに殺成虫、殺幼若虫作用が高く、殺卵作用はやや弱い剤(オマイト、ミルベノック アグリメック)などがあります。また剤の速効性や残効性も効果発現に重要な要因になります。

一般に殺卵、殺幼若虫効果で、残効性の優れるバロックやダニゲッターは春期越冬後ダニの増殖開始期の防除に適し、卵から成虫まで全ステージに効果あり、速効性の剤は発生増加期の被害防止の防除に適し、夫々使い分けすることが必要です。

ハダニなどの発生部位は葉裏であるため、薬剤の浸透移行性が望まれますが、現在使用されている殺ダニ剤は何れも浸透移行性はなく、このため葉裏に薬液が良く懸るよう散布法に留意する必要があります。また、一般的に殺ダニ剤はダニの増殖や生態などから薬剤抵抗性が発現しやすいといわれていますが、現在使用薬剤は適切な使用回数抑制やローテイション使用で発現はみられていません。年1回使用など適正使用を継続することが大切と思われます。

2.主要殺ダニ剤の系統と特性・特徴