第16号 秋芽生育期の病害特別防除対策

鹿児島県経済連・肥料農薬課

蒸し暑い残暑の中来年産茶に向け秋の茶園管理に努められていることと思います。8月は猛暑の天候が続きましたが、10日以降は俄雨などが多くなり、曇雨天・多湿な気象条件の不順な日が多くなっています。また、これから9月は台風襲来や秋雨前線の停滞なども予想されます。茶園は現在概ね秋芽生育期で、罹病性品種の「やぶきた」などは炭疽病、網もち病などが最も感染しやすい状態で、今後発生が多くなることが懸念されます。特に最近発生が増加し、被害の大きい網もち病はこのような湿潤な気象条件で多発生の恐れがありますので注意しましょう。また、一昨年の台風では細菌性病害の斑点細菌病やかいよう病が一部地域で発生しました。今年も更新園などが多く、秋芽の生育は様々な状態ですので、まず芽の生育状態を把握し、降雨など気象予報を勘案して、降雨前・合間、台風前などに、早急に適切な防除を進めましょう。

秋芽生育期の病害の発生と防除法

炭疽病は二・三番茶の発病葉から伝染し、秋芽の萌芽~5葉期頃迄に感染します。主に伝染源病葉となる三番茶期の発病は、早い梅雨明けや、浅・深刈り更新の影響でやや少ない状態ですが、これから秋芽生育期に降雨が多いと感染が多くなり、多発生する恐れがあります。

秋芽生育期の薬剤防除は、新芽の生育期間が長いため一般に予防剤と治療剤DMI剤の順に体系で防除しますが、降雨などで散布遅れの場合などでは前報でお報せした普及情報の新防除法ダコニール1000とDMI剤インダーフロアブルまたはオンリーワンフロアブルを混用して2-4葉期に1回散布する新防除法は極めて有効と思われます。

輪斑病は一般に摘採・整枝時の切口から感染しますが、台風による暴風雨による傷口からも感染します。また、新梢枯死症は包葉の落葉痕や葉柄の傷口などから感染しますので、この時期の台風による暴風雨後に発生が多くなります。このため台風直前の防除が有効です。

網もち病は秋芽の生育がやや進み、新芽生育後半(3~5葉期)の8月下~9月上旬頃に曇雨天・多湿条件が続くと菌(担胞子)が飛散して感染します。また、秋芽の生育が遅く9月上中旬になるような園で感染しやすいです。感染後50日位の潜伏期を経て10月下旬から11月頃葉裏に白い網目状病斑を発病します。発病に気づいてからの対処法はありません。今年は多発しやすい気象条件で注意が必要と思われます。DMI剤などで炭疽病と同時防除もできますが、これまで発生の多い地域や園ではさらに4~5葉期頃に銅水和剤を追加散布し、防除します。

斑点細菌病 かいよう病は台風の暴風雨で秋芽の新葉・新梢が傷感染します。これらの病害に対する登録薬剤はありませんが、赤焼病に有効なカスミンボルドーや銅水和剤は有効性が考えられます。台風襲来の直前・直後に散布することが有効と思われます。

具体的な今後の病害薬剤防除方法