第13号 三・四番茶摘採後および更新園の病害虫防除対策

鹿児島県経済連・肥料農薬課

今年の梅雨は梅雨入りが平年より12日遅れましたが、6月27日に梅雨明けとなり、記録的に短くなりました。梅雨明け後は全国的に記録的猛暑となりましたが、7月3日から台風4号の影響で一時梅雨模様の天気に戻りました。これからも連日蒸し暑い厳しい気候が続きそうです。今年最後の三番茶の摘採は早場産地から始まってきました。

これから病害虫の活動は最も盛んな時期になりますので発生状況に注意しましょう。三番茶を摘採した後や更新園再生芽で発生する病害虫には輪斑病・炭疽病・新梢枯死症・チャノミドリヒメヨコバイ・チャノキイロアザミウマ・ハマキムシ類・カンザワハダニ・ヨモギエダシャクなどがあります。この時期の茶園の防除は、来年の一番茶の基になる秋芽の充実や樹勢維持のために大切です。

防除の考え方

「やぶきた」園の輪斑病防除は摘採直後に行います。チャノミドリヒメヨコバイ・チャノキイロアザミウマは梅雨明け後増加しますので、発生の多い園は摘採後から秋芽萌芽前までに防除し、秋芽に対する発生密度を低下させておきます。ヨモギエダシャクは発生状況を観察し、多い場合は出来るだけ若齢幼虫期に防除します。ハマキムシ類はハマキ天敵、ハマキコン-Nなどによる防除を実施していない園では発生に注意し、若齢幼虫期に同時防除します。 今年も二番茶後の深刈り、浅刈りなどの更新園が多いですが、更新後の樹勢回復のため再生芽の萌芽・生育初期のチャノミドリヒメヨコバイ、チャノキイロアザミウマ防除および「やぶきた」園では生育期の新梢枯死症、炭疽病、再生芽整枝後の輪斑病防除は的確に行います。輪斑病、チャノミドリヒメヨコバイ、ハマキムシ類などの防除薬剤の一部には耐性菌発生や感受性低下がみられますので薬剤選択にも注意します。なお、薬剤使用回数は三番茶(最終)摘採・整枝、再生芽整枝でリセットされ、秋芽生育期~秋整枝までが一収穫期になりますので、薬剤選定に留意します。

輪斑病・新梢枯死症…多  炭疽病  黒葉腐病

今年の発生は、二番茶摘採後まではやや多発生の状況でした。梅雨が上がり、気温が高くなり、三番茶摘採は俄雨なども多くなる恐れがあり、発生しやすくなると思われます。本病は主に高温の雨天時や葉が濡れている状態で摘採や整枝を行うと、その切り口から感染し、発病しますが、降雨がなくても摘採・整枝時の傷の汁液でも感染しますので、伝染源病葉の多い園などは注意が必要です。このため薬剤防除は摘採・整枝後できるだけ早く行うことがポイントで、摘採3日後までに散布します。摘採後すぐに防除が出来ない場合が多いので、摘採1週間後頃に 1cm位整枝して直ちに防除を行う方法が現実的です。また、今年も深刈り、浅刈りなど更新園が多いですが、「やぶきた」園は更新後の再生芽生育期に新梢枯死症、炭疽病、再生芽整枝直後に輪斑病の防除を行います。

チャノミドリヒメヨコバイ…並  チャノキイロアザミウマ…少

両害虫とも今年は梅雨期の梅雨入りは遅れ、短い傾向でしたので発生がやや多い状態で経過しました。梅雨が明けて、乾燥した天気が続くと発生はさらに多くなります。増殖が早く、秋芽の生育・充実が著しく阻害されます。発生が多い傾向の園では秋芽の萌芽前に補完防除して密度低下を図ります。残効の長い薬剤の使用が望ましいです。深刈り、浅刈りなどの更新園の再生芽は集中的に被害を受け、樹勢回復に著しく影響しますので、特に注意します。  

三・四番茶摘採後および更新園の病害虫薬剤防除法 (太字剤は栽培暦採用)

三番茶摘採後に発生する病害虫