第6号 良質夏茶の安定生産に向けた一番茶後の病害虫防除対策

鹿児島県経済連・肥料農薬課

今年もコロナウイルス流行が持続する中で、気候的には恵まれて概ね平年並みの生産となりました。一番茶の生産も早場産地で終盤になり、遅場産地では最盛期を迎えました。今年は肥料、燃料の高騰など生産資材費上昇の厳しい条件での生産になりましたが、皆様の努力・工夫で良質茶の生産がすすめられました。間もなくゴールデンウイーク連休となりますが、茶業関係の皆様には最も繁忙期で、本当にご苦労様です。今回は一番茶後の病害虫対策についてお知らせします。

病害虫の発生概要

一番茶期は今年も病害虫の発生被害は殆どみられないようでした。しかし気温が上がり、病源菌や害虫の活動も活発になり、発生が多くなる時期になりました。

ハマキムシ類は最近やや多くなってきています。病害虫防除所の5月の発生予察情報では、第1世代の発生量はチャノコカクモンハマキ「やや少」、チャハマキ「やや多」、発生時期は「並」の予報です。いずれの産地も刈番茶の摘採後頃がふ化~若齢幼虫発生期で、防除の適期になります。

カンザワハダニの発生は一番茶前まではやや多発生に経過し、その後一番茶期は比較的に晴天日が続いたためさらに発生増加が懸念されましたが発生・被害は少ない状況のようです。県病害虫防除所の発生予察情報では「並」となっています。例年一番茶摘採後の今頃からが発生のピークになり、その後減少していきますので、しばらく発生に注意が必要です。

サビダニ類はこの数年多発生が続いていましたが、4月下旬の調査では発生は少ない状況でした。これから晴天が続くと発生が多くなる恐れもありますのでしばらく注意が必要です。

発生が拡大しているチャトゲコナジラミは県内の殆どの産地で寄生がみられており、一部地域の茶園では煤病発生を伴っています。4月中下旬の調査では、かなりの園で成虫が一番茶新芽に群生・乱舞する状況で、病害虫防除所でも防除に関する留意事項としています。成虫の発生が多く確認されている地域、園では一番茶後の防除に努めてください。

基本的防除対策

①ハマキムシ類の防除法(補完・臨機防除)

ハマキコンN使用園は防除の必要はありません。ハマキ天敵利用防除園や薬剤防除園では出来れば地域のフェロモントラップによる予察情報を活用し、発蛾最盛日16~22日後に防除しましょう。防除適期の予想は早場産地が5月1-3半旬、中間・遅場産地が5月2-4半旬頃になると思われますが刈番茶摘採後頃を目処にしてください。

②カンザワハダニの防除法(補完・臨機防除)

一番茶摘採後5月上中旬頃が発生のピークになりますので、発生が多い園では刈番茶摘採後早目に防除します。天敵(カブリダニ類など)の働きが活発になる時期であるため天敵に影響の少ない薬剤を選びましょう。なお、発生は天敵の活動と梅雨の影響で5月中~下旬頃には自然に減少しますので5月中旬以降の防除は必要ありません。

③サビダニ類の防除法(臨機防除)

一番茶摘採後頃に急増し、摘採残葉の褐変黄化・萎縮・落葉などの被害を生じることがあります。茶園が黄褐色化するなどで発生に気づいたら早めに防除します。通常はカンザワハダニと同時防除できますが、発生の多い場合は専用剤での防除が望ましいです。

④チャトゲコナジラミの防除法(補完防除)

一番茶摘採期頃に成虫が発生し、5月上-中旬頃が防除適期である若齢幼虫発生期になります。クワシロカイガラムシの防除適期であるふ化最盛期と発生が概ね同調しますので、同時防除を狙った防除が可能です。裾葉・葉裏に十分薬液が懸るように散布します。

一番茶後の病害虫防除法