第25号 茶園に使用する農薬の系統・特性と効果・使用法について

鹿児島県経済連・肥料農薬課

(殺虫剤・・・害虫防除剤)

茶園の管理作業などはほぼ終わり、病害虫防除も一休みの時期になりました。今回は茶園に使用する農薬を系統別に作用や特性、効果について紹介します。登録失効、登録内容変更と米国残留基準値(MRL)設定剤の追加などが少しあります。薬剤は系統別に整理し、理解してください。この時期に少し勉強し、防除技術や効果的な農薬の使用法の知識を習得してください。

殺虫剤の作用特徴と使用法

 昆虫害虫を防除する殺虫剤の作用で多いのが神経伝達系に作用するものです。神経伝達を攪乱・阻害して殺虫するもので、有機鱗剤(コリンエステラーゼ活性阻害作用)、合成ピレスロイド剤(中枢・末梢神経に反復刺激作用)、ネオニコチノイド系剤(シナプス後膜の受容体作用)、マクロライド系剤、イソオキサゾリン系剤(GABA受容体作用)、スピノシン系剤(ニューロン接合部の受容体活性化作用)などがあります。これらの神経系に作用する殺虫剤は一般的に速効的性質があります。

代謝系に作用して殺虫するものではミトコンドリアの呼吸エネルギー系を阻害して殺虫するものにコテツ、ガンバ、ハチハチ、サンマイトなどがあり、効果はやや遅効的で残効性があり、茶の吸汁性害虫に使用されます。  

昆虫の脱皮関係の代謝に作用し、皮膚クチクラ形成阻害による脱皮阻害作用で殺虫するものにはカスケード、ノーモルト、アプロード、マッチなどがあり、一方、脱皮ホルモン的に作用し、脱皮促進作用で殺虫するものにはファルコン、ロムダンなどがあります。また昆虫の成長(変態・脱皮)ホルモン代謝に作用して殺虫するのがプルートです。これらの剤はIGR剤(昆虫成長制御剤)といわれ、昆虫独自の生態に作用するため人畜に安全性が高く、天敵などへの影響も少ないです。作用は遅効的になります。

その他、比較的新しく開発された剤に昆虫の摂食吸汁行動阻害作用で殺虫するものにウララ、コルトがあり、吸汁を停止し死亡するのにやや時間を要するため遅効的ですが、被害は防止できます。吸汁性害虫に有効です。また、昆虫の筋細胞小胞体のCAイオン放出に影響し、筋・体の収縮(摂食)停止作用で殺虫するものにジアミド系剤のエクシレル、テッパン、サムコル、フェニックス、ヨーバルなどがあります。

有機栽培に使用できるBT剤はBT菌およびその生産毒素で、鱗翅目害虫幼虫が中腸で中毒を起こし殺虫される剤ですが効果は遅効的で、緩慢です。

薬剤の効果発現には殺虫力、速効性、残効性、浸透移行性などが影響します。薬剤抵抗性は殆どの殺虫剤で、発現する恐れがあり、同一系統剤の使用回数に十分留意する必要があります。現実にチャノミドリヒメヨコバイ、チャノキイロアザミウマに対しネオニコチノイド系剤、IGR剤、ハマキムシ類、チャノホソガに対しジアミド系剤、IGR剤などの抵抗性問題が地域によってみられています。 (添付の参考試験データー)

殺虫剤の天敵類への影響も十分留意し、選択する必要があります。現在使用されている殺虫剤は、選択性が大きく、比較的に天敵への影響は少ないもが多くなっています。

主要殺虫剤の系統と特性・特徴