第23号 令和4年地区茶栽培暦(防除暦)について

鹿児島県経済連・肥料農薬課

県内各地区の令和4年茶栽培暦改定検討会は終了しました。今回の改定では今年の病害虫の発生や防除上の問題が比較的に少なく、また新規登録農薬や輸出茶の残留基準設定追加も殆どなかったことなどから改定は少ないでした。しかし、ネオニコチノイド系薬剤の安全性や環境への影響問題報道やチャノホソガ防除剤の薬剤感受性低下問題などで南薩地区ではやや多い改定となりました。地区茶栽培暦を4パターン(南薩地区米国輸出茶栽培対応版、日置地区台湾輸出茶栽培対応版、北薩地区一般茶栽培版、姶良・曽於・肝属地区一般茶栽培版)に整理しました。栽培暦の概要と防除をすすめる上での考え方を少し解説します。

1 栽培暦の概要と防除進め方

〇 炭疽病・・・梅雨期になる二・三番茶期の補完と秋芽生育期基幹防除が設定されていますが、今後一番茶を重視した生産や更新園増加のため秋芽生育期防除が重要になると思われます。二・三番茶期の萌芽-1葉期はダコニール1000、銅水和剤(輸出茶)で防除されますが、最近増加しているドリンク茶栽培では摘採を遅らせるため摘採葉への発病を防ぐためダコニール1000にEBI剤を低濃度で混用して散布すると上手く防除出来ます。基幹防除の秋芽生育期は従来萌芽-1葉期と3-4葉期の体系防除でしたが、新たに開発されたダコニール1000とEBI剤との混用による3-4葉期1回散布法はかなりの地区で採用・普及してきました。新梢枯死症、網もち病などにも体系防除より安定して高い防除効果が得られます。なお、混用3-4葉期散布は萌芽後最初の降雨から12日後頃を目途に散布することが最適です。

〇 輪斑病(新梢枯死症)・・・高温時に発生しやすい病害で、主に三番茶摘採後のカスミンボルドー散布が基幹防除となっていますが、摘採・整枝直後に散布を要するため現場ではかなり防除が難しいようです。この時期の防除は秋芽生育期の新梢枯死症発生にも大きく関与しますので、大切な防除です。

〇 網もち病・・・最近発生が増加している病害で、多発生すると被害が大きいので、注意を要します。主要感染時期は秋芽生育期後半の8月下旬~9月中旬頃で、多湿条件で感染します。今年も8月下~9月に湿潤な天候が多かったためかなり多発しています。防除は秋芽生育期の炭疽病などの体系防除法、混用防除法でも効果を示しますが、さらに1週間後4-5葉期に銅水和剤を散布すると効果的です。銅水和剤は本病に効果が高く、有機栽培でも2-3回散布で上手く防除出来ます。

〇 カンザワハダニ(サビダニ類)・・・最近ハダニの発生は減少傾向で、大きな被害は少なくなりました。これは、現在使用殺虫剤の選択性が大きく、カブリダニ類など天敵への影響が少なく、天敵の活動が活発なためと思われます。主要発生期の春期の発生も少なくなり、従来重要な防除時期であった秋期の発生は顕著に少なくなり、栽培暦採用もなくなりました。代わりに更新園等で8月頃、秋芽生育期に発生が多くなりました。更新園の発生は、葉の切除で一時的に葉層内の天敵密度が低下するためと思われます。防除は春越冬後増殖期に残効性の優れるダニゲッターフロアブルなどによる基幹防除は重要です。また、更新園等の秋芽生育期防除の必要性も高まり、ハダニの全ステージに有効な速効性のダニサラバフロアブル、マイトコーネフロアフルなどによる補完防除が薦められます。サビダニ類の発生は一番茶後から二番茶期に一時的、極部的に発生

しています。春越冬後のダニゲッターフロアブルによるハダニとの同時防除で対応しますが、発生が多い場合は一番茶摘採後などにサンマイトフロアブルを散布すると効果的に防除できます。

〇 チャノミドリヒメヨコバイ  チャノキイロアザミウマ・・・茶の害虫では収量、品質に最も被害が大きく、また発生期間も二番茶期から秋芽生育期まで長期にわたり発生するため年4-5回の基幹防除がすすめられています。防除薬剤も抵抗性発現等を考慮し、系統の異なる剤を配置した防除となっています。二番茶期ウララDF、三番茶期ネオニコチノイド系のスタークル顆粒水溶剤、ジアミド系のエクシレルSE、テツパン液剤、秋芽生育萌芽期にコテツフロアブル、グレーシア乳剤、3-4葉期にガンバ水和剤などが概ね固定化されています。

〇 チャノコカクモンハマキ チャハマキ・・・最近発生は穏やかな状態で、一番茶後、二番茶後、秋期に発生みられますが、被害は少ないようです。特に防除を要するのは秋期発生で、各地区とも秋芽生育初期のグレーシア乳剤、コテツフロアブルなどによる体系基幹防除や9月(第4世代)のアファーム乳剤、ディアナSCによる補完防除で対応されています。ハマキ天敵の使用は少なくなり、ハマキコンNはロープ製品になり南薩地域の一部で普及が進んでいますが、何れも広面積一斉処理が必要と思われます。

〇 チャノホソガ・・・二・三番茶期に発生すると製茶品質に影響し、2019年頃からは南薩地域の一部で薬剤感受性低下のため多発生し、被害が問題になりました。二番茶期は被害が大きいため、ディアナSC、IGR系剤のファルコンフロアブル、カスケード乳剤、ジアミド系剤のサムコルフロアブルなどで防除がすすめられていますが、萌芽後の新芽への産卵、潜葉幼虫を確認し防除することが効率的です。また、薬剤抵抗性発現が地域により異なりますので、地区栽培暦採用薬剤で防除します。

〇 クワシロカイガラムシ・・・発生は最近かなり少なくなり、枝条枯死、樹勢衰弱、茶葉黄化などの被害は著しく少なくなりました。これは選択性殺虫剤の使用などによりコバチ類、タマバエなど天敵類の活性化の影響と持続効果の優れるプルートMCの普及効果が高いためと思われます。第1、3世代などの幼虫ふ化最盛期防除の必要性はかなり低下してきました。

〇 チャトゲコナジラミ・・・県内殆どの産地に発生が拡大し、被害が心配されましたが、乱舞による作業性への影響や煤病発生などの発生程度の高い状況は少なくなりました。スペシャル天敵シルベストリコバチの分布拡大、定着による影響が大きいと思われます。薬剤防除も第1世代幼虫期アプロードエースフロアブル、第3世代ガンバ水和剤などによる他主要害虫との体系同時防除の効果も大きいようです。

〇 その他マイナー病害虫・・・赤焼病の発生は極局部的発生で、少ない状態が続いています。今後も多発生の懸念は少ないと思われます。マダラカサハラハムの発生は増加傾向で、秋芽生育初期の他害虫との同時防除の必要性は高まってきました。ヨモギエダシャク、ミノムシ類の発生も局部的にみられています。

 2  令和3年新規登録農薬、登録内容変更につい

 殺菌剤  カスミンボルドー 使用時期 14日前 2回 500~1000倍(輪斑病 赤焼病)・・変更

      スターナ水和剤 抗生物質 1000倍 7日前 2回 赤焼病・・・新規登録

      クミガードSC 銅剤 500倍 前日 ―  炭疽病 もち病 赤焼病・・・新規登録

 殺虫剤  アクタラ顆粒水和剤 マダラカサハラハムシ  アファームエクセラ顆粒水和剤 チャノコカクモンハマキ チャノホソガ

    チューンアップ顆粒水和剤 チャノホソガ・・・適用拡大 アドマイヤー顆粒水和剤・・・登録失効

輸出相手国(米国)の農薬残留基準値(MRL)の新規設定状況

   スコア顆粒水和剤 (15ppm) アファーム乳剤 (0.5ppm) グレーシア乳剤 (5ppm)