第1号 クワシロカイガラムシ防除適期の産地間比較とプルートMCによる防除法

鹿児島県経済連・肥料農薬課

最近、クワシロカイガラムシの発生は少なくなり、大きな被害はみられなくなりました。これは効果の高いプルートMCの普及や天敵への影響が少ない薬剤使用など防除体系の変化、さらに、皆様の適期、適切な防除実施によるものと思われます。本会でも適期防除をすすめるため毎年主要産地における産卵・ふ化状況調査を実施して、防除適期の予測を行い、防除情報を提供してきました。

この20年近い調査において、県内主要産地の防除適期であるふ化最盛期は年による変動はあるものの基準とした旧農業開発総合センター茶業部(有効積算温度による防除適期予測値)と比較しある程度の早晩(日数差)の傾向が得られましたので、今後の防除対策の参考資料として提供します。

表1 茶業部を基準としたクワシロカイガラムシ防除適期の比較

越冬雌成虫休眠期におけるプルートMCによるクワシロカイガラムシ防除法

防除時期が近まりましたので、プルートMCの特徴、使用法について紹介します。プルートMCは昆虫の発育成長(変態・脱皮)ホルモン代謝に作用し殺虫する幼若ホルモン活性物質薬剤です。クワシロカイガラムシ、チャトゲコナジラミに有効で、残効性が極めて優れる特徴があります。越冬中の雌成虫時に散布しますが、雌成虫に対する直接殺虫効果はありません。茶枝条に散布された薬剤は待受型で接触的に作用し、ふ化してきた幼虫が触れ、幼虫の発育、脱皮や変態などを阻害して、殺虫します。薬剤の残効は散布後概ね第3世代の秋期頃までみられ、その後密度の低下で、見掛け上は2年間程発生を抑える効果がみられます。散布適期を見極める必要がなく、越冬期の何時でも防除が可能ですが、残効性を考慮すると使用基準である一番茶摘採30日前(萌芽前)の2月中旬~3月上旬頃の散布が良いと思われます。勿論、この防除も幼虫ふ化最盛期防除と同様枝条に薬剤をむらなく付着させることが大切です。プルートMCはIGR剤で、天敵などへの影響も少なく、IPM防除にも適合します。なお、チャトゲコナジラミに対しては葉寄生のため残効性がやや劣るようです。薬剤使用は事前の会員登録が必要で、蚕毒が極めて強いため、桑園から2.6 km以内は使用が規制され、使用後の容器回収が義務づけられています。薬剤価格が極めて高いため茶園の発生状況などを勘案し、計画的使用が望ましいです。なお米国およびEU輸出茶栽培園にも使用できます。